高齢になったらなぜ運動が重要か

廃用症候群と生活不活発病

人は持っている機能を使わないと容易にその機能は低下してしまいます。特に高齢者では、いったん低下した心身の機能はなかなか元に戻せなくなります。これを「廃用症候群」 といいます。しかし、肺炎や骨折等の手術後の安静で急速に生じる機能低下も「廃用症候群」といわれ医療機関での治療が必要とされます。これを区別するため前者を「生活不活発病」と呼ぶこともあります。

廃用症候群と寝たきり

高齢者が寝たきりになった場合によく脳卒中やパーキンソン病などの麻痺や運動機能の低下をきたす疾患が原因とされます。しかし、それは単なるきっかけで実際には「廃用症候群」がその原因 になっていることが多いのです。つまりぎりぎりの状態で何とか生活を送っていた高齢の障害者がちょっとした病気やけが、不活発な生活習慣から生活が閉じこもりとなり、廃用症候群をきたして寝たきりになるというパターンが多いのです。

廃用症候群の症状は

高齢者の廃用症候群は病気やけがで病院に入院したことがきっかけで生ずると言われています。「病気やけが」を治すために安静を強いられることが多く、高齢者では容易に「使わないことで機能低下」をきたすことが見られるのです。以下に廃用症候群の典型的な症状を示します。

  1. 手足や体幹の筋委縮や筋力低下
  2. 手足の関節が固くなる(拘縮)
  3. バランス(平衡機能)の低下
  4. 骨がもろく折れやすくなる(骨の萎縮)
  5. 心臓や肺の機能低下
  6. 自律神経の低下
  7. 失禁や便秘

等さまざまな症状が挙げ られます。その他、刺激の少ない生活から精神機能の低下を生じ、うつ的な雰囲気となり意欲の低下に もつながります。認知症の人であれ ば、症状悪化につながるだけでなく、寝たきりの生活そのものが認知症を 引き起こす場合もあると考えられます。

廃用症候群を防ぐためには

まずは生活そのものを活性化することが重要になります。日々の生活が閉じこもりになっていないかよく考えてみましょう。以前より家にいる時間が増えたとか家族以外の人と話す機会が極端に減ったなと感じたらその原因について考えてみましょう。体調が悪かったり、少し寝込んだために体力が低下したりしてはいないか。家族の心配事であったり、友人が亡くなったなどで元気がなくなったり、気持ちが滅入っていたりしていませんか?家から外に出る段差が大変なったり外を歩くのが不安定で怖くなったりしていませんか。

閉じこもりの原因をできるだけなくして、外に出る機会を増やしていきましょう。高齢者を対象としたさまざまなサービスを利用して、外出する機会を増やしてください。できれば同じくらいの年代の方が集う場所に積極的に参加していきましょう!パワーリハビリ教室やプールリハビリなど体を動かし人と触れ合う生活スタイルが生活の張りにもつながっていきます。運動習慣を身につけ、さらに人と話をしたり、ボランティアなどの活動にも参加したりしていければ、活気のある生活によって、廃用症候群を克服することができます。